2021/08/30

メダイチドリ 亜種 

 以前、謎のメダイチドリを撮影して、色々な所に鑑定してもらうために出していました。


9割型結論は同じで、メダイチドリ 亜種との事。

その中でも 3種あるため、それを特定するには換羽が進んでおり綺麗ではないためと、3種はほぼ見分けがつかない、難しいと言う事です。


可能性だけで考えると

チベット メダイチドリの可能性が有力候補


最終的に、氏原道昭さまに確認を取り、こまかく調べていただき、簡単にまとめると

ほぼメダイチドリ亜種で良いでしょうとの事。


わかっている限り、日本国内で確認が出来た個体は、この個体で2個体目と言う超貴重らしいです。


すでに抜けていますが、偶然でも貴重な鳥を撮影できたことに感謝です(⌒∇⌒)


一部オオメダイチドリと言う方も居ますが、結論に至った理由は

写真の一番下に、記載してあります。


メダイチドリ 亜種








D850+AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR


氏原様のお返事

結論から言いますと、この個体は額の黒色部の多さと位置、細長い嘴の形状などから、メダイチドリの西方の3亜種(atrifronsグループ)の中のどれかと考えるのが妥当と思います。ただ亜種チベットメダイチドリというのはその3亜種の中の一つのschaeferiの和名ですが、この3亜種はよく似ていて識別が難しい上に、この個体は夏羽がかなり摩耗・褪色して換羽も一部始まっていると思われるため、どの亜種かを特定するのは困難なように思います(ただし繁殖分布からはschaeferiが渡来する可能性が高いという推測はできるかとは思います)。また他に気になる情報として、新しい研究ではロシアのチュクチ半島で繁殖するメダイチドリ(亜種stegmanniと考えられる)の15‐20%が漆黒の額を持つという話があり、これが事実であれば少なくとも額の黒さだけでは必ずしもatrifronsグループと判断できないことになるので注意が必要な点かなと思います。

【参考文献】
https://www.researchgate.net/publication/254780588_Identification_taxonomy_and_distribution_of_Greater_and_Lesser_Sand_Plovers

またatrifronsグループは日本で通常見られるmongolusグループより胸の橙色が明るい傾向で、かつ脇の方への広がりは少なく、脇や腹がすっきりと白く見えるのも注目点です。この個体は翼で脇が隠れているのと、夏羽後期で褪色もしていると思われるので微妙なところですが、とりあえず見える範囲ではatrifronsグループの特徴に反していないように思います。

嘴はオオメダイチドリほど太長くなくて華奢に見え、横から見た上嘴先端付近の輪郭のカーブの及ぶ範囲が、嘴全体の長さとの割合で小さいこと、足が黒っぽいことなどからオオメダイチドリは除外できると思います。

atrifronsグループについては昔から国内で話はよく聞くのですが、どうもしばしばオオメダイチドリとの混同もあるようで渡来状況はよくわかっておらず、現在写真で確認できるもので個人的に可能性が高いと思うもののは実はこれで2例目です(もちろん見逃しはあるかもしれません)。もう一例はこちらのブログにありますので参考にリンクを貼ります。https://kazenoiro.exblog.jp/24392096/

とりあえず以上のようなところです。貴重な画像を見せていただきありがとうございました。

鳥に詳しい知りあいの知り合いからのお返事

長文失礼します。例のメダイチドリについて調べてみました。
結論から言いますと、たぶん亜種チベットメダイチドリ(schaeferi)だと思いますが、亜種pamirensis(←日本では確実な記録なし)の可能性も否定できないと思います。
分かりやすい画像が論文に貼ってあったので送っておきますね。日本でよく見られるのは亜種stegmanniで稀にmongolusが混じるらしいです。(私は見たことがありませんが…。)
しかしながらこのメダイチドリは、目先の白斑が異様に小さく違和感があります。また胸の黒線が無い、頭が白っぽくなっているといった特徴があります。(stegmanniでも摩耗等の換羽状況によって起こりえますが、それでもこの個体は顕著に現れていて、違和感を覚えます。)
これらの特徴が当てはまるのは、亜種チベットメダイチドリ(schaeferi)か亜種pamirensisです。しかしながら、この個体は夏羽後期ということもあり、外見上からどちらの亜種か識別することは難しいです。この2亜種の分布図も貼ってあったので送っておきますね。亜種pamirensisは亜種チベットメダイチドリ(schaeferi)よりも日本から分布域が離れており、日本へ飛来する可能性は極めて低いと判断したため、この個体は亜種チベットメダイチドリ(schaeferi)が妥当かなと思いました。しかしながら、この個体の頭部はかなり白くそのあたりがやや亜種pamirensisっぽさがあったので、断言はできません。(もちろん、頭部の白さは夏羽後期による擦れの可能性も十分あります。)