以前、謎のメダイチドリを撮影して、色々な所に鑑定してもらうために出していました。
9割型結論は同じで、メダイチドリ 亜種との事。
その中でも 3種あるため、それを特定するには換羽が進んでおり綺麗ではないためと、3種はほぼ見分けがつかない、難しいと言う事です。
可能性だけで考えると
チベット メダイチドリの可能性が有力候補
最終的に、氏原道昭さまに確認を取り、こまかく調べていただき、簡単にまとめると
ほぼメダイチドリ亜種で良いでしょうとの事。
わかっている限り、日本国内で確認が出来た個体は、この個体で2個体目と言う超貴重らしいです。
すでに抜けていますが、偶然でも貴重な鳥を撮影できたことに感謝です(⌒∇⌒)
一部オオメダイチドリと言う方も居ますが、結論に至った理由は
写真の一番下に、記載してあります。
メダイチドリ 亜種
D850+AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR
氏原様のお返事
結論から言いますと、この個体は額の黒色部の多さと位置、細長い嘴の形状などから、メダイチドリの西方の3亜種(atrifronsグループ)の中のどれかと考えるのが妥当と思います。ただ亜種チベットメダイチドリというのはその3亜種の中の一つのschaeferiの和名ですが、この3亜種はよく似ていて識別が難しい上に、この個体は夏羽がかなり摩耗・褪色して換羽も一部始まっていると思われるため、どの亜種かを特定するのは困難なように思います(ただし繁殖分布からはschaeferiが渡来する可能性が高いという推測はできるかとは思います)。また他に気になる情報として、新しい研究ではロシアのチュクチ半島で繁殖するメダイチドリ(亜種stegmanniと考えられる)の15‐20%が漆黒の額を持つという話があり、これが事実であれば少なくとも額の黒さだけでは必ずしもatrifronsグループと判断できないことになるので注意が必要な点かなと思います。
https://www.researchgate.net/publication/254780588_Identification_taxonomy_and_distribution_of_Greater_and_Lesser_Sand_Plovers
またatrifronsグループは日本で通常見られるmongolusグループより胸の橙色が明るい傾向で、かつ脇の方への広がりは少なく、脇や腹がすっきりと白く見えるのも注目点です。この個体は翼で脇が隠れているのと、夏羽後期で褪色もしていると思われるので微妙なところですが、とりあえず見える範囲ではatrifronsグループの特徴に反していないように思います。
嘴はオオメダイチドリほど太長くなくて華奢に見え、横から見た上嘴先端付近の輪郭のカーブの及ぶ範囲が、嘴全体の長さとの割合で小さいこと、足が黒っぽいことなどからオオメダイチドリは除外できると思います。
atrifronsグループについては昔から国内で話はよく聞くのですが、どうもしばしばオオメダイチドリとの混同もあるようで渡来状況はよくわかっておらず、現在写真で確認できるもので個人的に可能性が高いと思うもののは実はこれで2例目です(もちろん見逃しはあるかもしれません)。もう一例はこちらのブログにありますので参考にリンクを貼ります。https://kazenoiro.exblog.jp/24392096/
とりあえず以上のようなところです。貴重な画像を見せていただきありがとうございました。